2年ぶりの開催、厳重な感染対策を講じて
(公社)東京都洋菓子協会、(一社)日本洋菓子協会連合会主催、東京都、北海道・東北・関東甲信越静・北陸・中部・近畿・中国・四国・九州の各ブロック協議会共催、農林水産省、日本洋菓子工業協同組合後援による国内最大規模の洋菓子作品展「2021ジャパン・ケーキショー東京」が、さる10月12~14日にかけて、東京都台東区浅草にある「東京都立産業貿易センター台東館」において開催された。昨年は新型コロナウイルス感染症拡大を受けて開催中止となったため、2019年以来の開催となる今回のケーキショー。今年もその影響を払拭できたわけでなく、喫茶スペースを設置しない、表彰式を短縮するなど一部規模を抑えての開催で、来場者は三日間合計で約10,000人、出品数は全部門合わせて1,400点と例年に比べると減少したものの、当時緊急事態宣言下であった状況を考えると十分に集まったと言えるだろう。コロナ禍において変化した生活様式に対応しなければならない中、募集に応じて集まってくれた作品群をはじめ、今年のケーキショーの様子をお届けする。
今回のケーキショーは全14部門で募集が行なわれ、先述の通り日本全国から1,400の応募があった。作品は会期前日の11日に会場に搬入され、受け付けでの規定チェックを経て部門ごとに決められたスペースに出品者自らが陳列。全ての作品が出揃うと、連合会および東京都洋菓子協会関係者等によって構成された審査委員団による厳正な審査が行なわれ、全部門計290点の賞が決定した。さらに、受賞作品の中から最も優れた作品にグランプリ、次に優れた作品に準グランプリの称号が与えられた。なお、通常は審査後に行なわれる前夜祭は今回中止となった。

・ケーキショーの新たな姿を見せ、浜松町へ
会期初日の12日午前10時、今年は例年のように盛大な式典は行なわず、静かに開会を迎えることに。会場は入場ゲート、書籍・焼き菓子販売ブースに感染防止用シートを張る、作品閲覧時の順路を定めて一方通行とし密の状態を作りにくくする、マスク着用、手指の消毒を徹底する、入賞者の賞状事前受け取りを受け付けるなど、可能な限りの感染拡大対策を施した。場内は4階が46社のブースが展開されている企業フロア、5・6階が作品展示フロアの3階構成(最終日のみ7階で表彰式を実施)。
会場の各所には連合会・東京都の公認技術指導委員によるレシピ集『SWEETS COLLECTION』および、同じく公認技術指導委員による焼き菓子詰め合わせの販売ブースと東京都洋菓子協会入会案内ブースが設けられ、好評を博した。また、最終日の14日には、午後0時30分より金賞以上の受賞者を集めて表彰式が行なわれた。式ではまず役員・来賓が紹介され、主催者を代表して柳正司・(公社)東京都洋菓子協会会長が「今年はショーが無事開催されるか不安もあったかと思うが、その中でも素晴らしい作品を出品していただき、ショーが成功に終わることができた。思うような結果が出なかった方もいらっしゃるだろうが、私自身の経験からも、今回の結果が大きな成長の糧となるだろうと思う。今後も頑張って、皆さんがこれからの洋菓子界のリーダーとなって活躍して欲しい」と挨拶を述べた。続いて表彰に移り、会場に集まった金賞以上の受賞者に賞状が手渡された。
その際、前田商店カレボー賞は前田要一・(株)前田商店代表取締役社長より、東京都知事賞は安齋貴子・東京都産業労働局商工部経営支援課課長代理より、農林水産大臣賞および農林水産省大臣官房長賞は峯村英児・農林水産省大臣官房新事業食品産業部職員製造課課長より、それぞれ賞状の授与が行なわれ、挨拶が述べられた。続いてグランプリ・準グランプリの発表があり、グランプリにはマジパン仕上げデコレーションケーキ部門の須永真理子氏が、準グランプリにはバタークリーム仕上げデコレーションケーキ部門の寺田美里氏が選ばれ、須永氏には島田進・連合会会長より、寺田氏には柳正司・東京都洋協会長より賞状とトロフィーが授与された。
また、須永・寺田両氏には横山謝恩特別奨学賞が与えられ、横山千秋・横山香料(株)代表取締役社長より賞状が授与された。なお、グランプリ・準グランプリをマジパンおよびバタークリーム仕上げの作品が獲得したのはジャパン・ケーキショー作品展始まって以来の快挙である。見事グランプリに輝いた須永氏は「今回が最後と思って挑戦しましたが、思ってもいなかった結果でとても嬉しく思っています。アドバイスをいただいた森下シェフや、環境を整えてくれたお店の皆さんに感謝しています」と喜びを語った。次に、永井紀之・審査委員長より総評が述べられ、最後に望月完次郎・東京都副会長による閉会の辞をもって、式は無事終了を迎えた。
ジャパン・ケーキショーは本年をもって6年間続いた産業貿易センター台東館での開催を一旦終え、来年は10月25~27日、都立産業貿易センター浜松町館で行なわれる予定。コロナ禍を乗り越えての開催、ケーキショー史上初のマジパン・バタークリーム作品のグランプリ・準グランプリ受賞と、新たな時代の到来を告げる記念すべき回となった。

グランプリ・連合会会長賞・横山謝恩特別奨学賞・東京都知事賞
マジパン仕上げデコレーションケーキ部門
須永 真理子氏
(パティスリー コリウール 東京都)
の作品

準グランプリ・連合会会長賞・横山謝恩特別奨学賞
バタークリーム仕上げデコレーションケーキ部門
寺田 美里氏
(パティスリー ノリエット 東京都)
の作品

前田商店カレボー賞
コンフィズリー部門
加藤 洋平氏
(クリオロ 東京都)
の作品

感染対策にシートが張られた入場受付

焼き菓子セットも好評

4F企業ブースの様子